会社の概要を説明する上で、”板金加工”と言う言葉を使うと車の修理をイメージされる事がよくありますが、横文字にするとｓｈｅｅｔ metalとなり、平板の金属に加工を施して製品の形にしていく板金加工です。
少し知っている人だとプレス加工ですかと聞き返されますがこれも違います。
さて、板金加工とはどんな事なのでしょうか？
（注）福井製作所で扱う金属板の厚さは０．５ｍｍ〜５ｍｍを標準的板厚としていますが、板厚０．１ｍｍからの加工や、１０ｍｍまでの加工も特殊な方法で実現しています。 基本的な板金の説明をする上で特殊サイズの話を含みますと話が解りにくくなりますので、ここでは標準的板厚についての話として進めます。
板金加工の作業手順は以下のような流れになります。
１．図面展開
２．抜き加工
３．前加工（バリ取り、タップ加工等）
４．曲げ加工
５．溶接
６．仕上げ
７．（表面処理）
８．（組立）
板金加工とは金属の板を切ったり、曲げたり、くっつけたり、穴をあけたりとしながら形にしていく加工の事を言います。 折り紙を金属でしているようなものなんです。
一言ではなかなか説明できない精密板金屋さんの内容を、解りやすいようにサイコロを板金で作る手順を例に流れを追って説明していきます。
（１）図面展開
板金加工用の図面は第３角法により書かれていますので、サイコロの図面はＦｉｇ．１の様な描かれ方をします。 この図面を元に板金でどのように実現するかをイメージします。 この展開作業が大変でしてサイコロの展開をＦｉｇ．２のように展開してしまった場合は、曲げ加工手順で問題が発生してしまいます。（問題点は曲げ加工手順で説明します） Ｆｉｇ．３が実現可能な展開になります。
Ｆｉｇ．１ 第３角法によるサイコロの図面
Ｆｉｇ．２ 間違い展開方法 Ｆｉｇ．３ 正解展開方法
（２）抜き加工
金属板を展開図のように加工するにはＮＣ機を用いて用いて行います。 ＮＣ機を動かすためには展開図形を抜くための個別プログラムを作成する必要があります。
Ｆｉｇ．４がＮＣ機用プログラムです。 このプログラムによりＮＣ機が動かされるイメージがＦｉｇ．５になります。
（初めての図面を製作する場合には材料代＋加工費とは別に初期費用としてこのプログラム代がかかります）
Ｆｉｇ．５ ＮＣ機による加工写真
（３）前加工（バリ取り、タップ加工等）
抜き終わった金属板にはバリがありますので、この時点で後工程と怪我防止の為にバリを取り除きます。 また、タップ等の加工もこの時点で処理します。
Ｆｉｇ．６ 抜き終わった金属板写真
（４）曲げ加工
抜き加工が終わった物に曲げ加工を施し製品の形に近づけます。
図面展開方法で触れましたが、曲げ機械の特性上どうしても曲がらない形が出てきます。 曲げる段階で気がついたのでは遅いので、展開図を作る時に曲げ、組立溶接の事を考えておく必要があります。
Ｆｉｇ．２は最後の曲げができないために、板金の展開図としては間違えになります。
Ｆｉｇ．７ 曲げ方法 Ｆｉｇ．８ 曲げ写真
（５）溶接
溶接とは金属同士を溶かして接合するものです。 他にもスポット溶接というものがありますが、こちらはブラケット等の別部品を取り付ける時に用います。
Ｆｉｇ．９ 溶接前後比較写真 Ｆｉｇ．１０ 溶接中の写真
（６）仕上げ
溶接により接合部にＦｉｇ．９のような盛り上がりができますので、これを平らに仕上げます。 また製作途中で表面に傷がついた物もこの時点で仕上げます。
Ｆｉｇ．１１ 完成写真 参考：
１０個作った場合
材料費
抜き作業 １０分
曲げ作業 ３０分
溶接作業 １００分
仕上作業 １２０分
溶接箇所が多く、熱により一気に
作業する事が出来ない。
溶接箇所が多い為、その分仕上
にも時間がかかってしまいます。
単価は約２，５００円
（７）表面処理
質感を出すためにアルミにバフ研磨をする事も可能です。
バフ処理後に色付きアルマイトも可能です。
Ｆｉｇ．１２ 特殊処理
板金加工の概要が解っていただけたでしょうか？
板金加工に於いて注意しなければならないのは、素材の金属（鉄、アルミ、ステンレス、銅、真鍮、化粧板）は加工時に力や熱を加える事により素材が微妙な伸び縮みをおこす事です。 この金属の変化を計算し事前に金属板を抜き加工したり、力と熱を加減しながら図面を実現させるためには経験値が必要となってきます。
福井製作所ではこの様な経験値を豊富に持っていますので、図面に書かれた品物を精度よく完成させる事ができます。
株式会社 福井製作所の職種は精密板金加工です。
会社訪問時このページを印刷した物をお持ち頂ければ、このページで作成したサイコロを差し上げます（在庫が無くなり次第終了）
